ご挨拶

第29回日本脳腫瘍の外科学会

会長 上羽 哲也

(高知大学医学部 脳神経外科 教授)

謹啓

この度、第29回日本脳腫瘍の外科学会を2024年10月4日(金)、5日(土)の両日、高知県立県民文化ホールにて開催させていただきます。まずは本会の開催に向けてご尽力を賜りました諸先生、関係諸氏に厚く御礼申し上げます。

脳腫瘍の外科学会は、脳腫瘍の外科に関するあらゆる分野の進歩を図り、相互の知識の交流を行うことを目的に設立されました。四半世紀以上にわたり脳腫瘍の外科分野のみならず、脳神経外科分野の学術、技術の向上に有益な情報を提供してきました。脳腫瘍は患者にとっては非常に厳しい病気ですが、私たち外科医にとっては挑戦的であり、またやりがいのある分野でもあります。その為に私達は日々新しい技術や手術法を研究し、最適な治療を提供することを目指しています。

そこで今回のテーマは「教育と質の保証」といたしました。我々医療人であり教育者でもある立場の者、医療人であり学ぶ立場の者、これらすべての先生方の基本的精神としてあるべき姿勢を確認することを目標としたいと考えた結果でございます。

その基本となるのは最新の科学の進歩であり、その進歩は目覚ましく、悪性脳腫瘍の分野では遺伝子診断導入により治療法も広がり、バイオマーカーを利用した診断や治療の決定、エピジェネティクスの研究による脳腫瘍の発生や進展機序の解明と様々な免疫チェックポイントを標的とする免疫療法、遺伝子レベルでの治療の分野での進歩があります。一方、AI技術を用いた良性脳腫瘍・悪性脳腫瘍の診断や治療計画の立案への進歩も目覚ましく、教育的使用も進んでいます。今後もさまざまな脳腫瘍の治療分野において、これらのトピックを中心により効果的な治療法の開発や予防法の研究が進むことが期待されています。その過渡期において「教育と質の保証」というテーマを敢えて再考し、温故知新的な精神が浸透することが肝要と考えております。

本学会で行われる最新の研究成果や治療法についての報告や講演、また専門家による討論は、脳腫瘍外科医にとって有益となるばかりでなく、この機会を通じて多様な視点や経験を持った参加者との交流を深め、脳腫瘍治療の分野をより一層発展させられると確信しております。第29回日本脳腫瘍の外科学会へのご参加・ご協力をお願い申し上げます。

なお、表紙にあります高知県の北川村のモネの庭の意味するところですが、モネが夢みた青いハスが品種改良の結果、見事なつぼみをみせております。若い脳神経外科医がどう育つのか、夢見たいとの想いを込めております。高知県の北川村のモネの庭は、世界で唯一フランスの本家より公認されている庭です。

謹白
2024年3月吉日

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